by Yuuji Taniguchi
カヌーが優雅に低く飛んでいくのは青く澄んだ湖の上。
そこは南国の海を思わせるほど広大で美しいヒューロン湖東側のジョージアンベイ。
湖岸線にはナイアガラ方面からブルース半島の北端まで伸びているナイアガラ•エスケープメント(断層崖)があり、その線上にクライミングポイントは多く存在するのだが、その中でもブルース半島中程に位置するLion’s Headから見下ろす湖は特に美しく壮観。そこに切り立つ断層の石灰岩は雄大で、クライマーにとってはより魅力的に映るだろう。
森の中のトレイルを抜けてひらけた断崖からの景色は圧巻である。ハイキングで訪れるのももちろんおすすめするが、そこを昇り降りするクライマーはより一層ダイナミックな自然を肌に感じることになるだろう。
僕はクライミングを始めて1年ほどだがこの時がはじめてのハンギングビレイ(宙吊りの状態で安全確保)だった。2人同時に懸垂下降し、セルフビレイをとった後、ロープが岩か木に引っかかてしまい一本目から5.10cをフリーソロか?という恐怖を感じる瞬間と(反対側からロープを引っ張って事なきを得た)オーバーハング(反り返った岩)で落ちた後、登れず宙吊りになりながら風に揺られ実践では初の空中をユマール登攀というスリルも味わうことになった。どちらも安全確保をしっかり行い、練習も重ねていたので特に問題はなかったが、どんな状況でも対応出来るよう知識と経験をより多く重ねて行きたいと強く感じた。
とはいえ、ここでのクライミングは僕にとって本当に素晴らしい体験となった!4日間湖畔沿いのキャンプサイトから足繁く通ったLion’s Head。クライミング後に火を囲んで飲む冷えたビールは何よりも最高だった。